ペインクリニック

ペインクリニックとは

ペインクリニックのイメージ写真

長らく続く慢性的な痛みでお悩みの患者さまを対象にした外来がペインクリニックです。
そもそも痛みという現象は、体の異常を知らせる警告反応として非常に大切なものです。
ただ、痛みの原因が明らかになった後でも、相変わらず続く痛みというのは、著しく生活の質を落とす原因になります。

また痛みが生じたときに適切な治療を行わず、放置した状態のままだと痛みが別の痛みを引き起こすようになり、「慢性の痛み」に変わってしまうこともあります。

なお1~3ヵ月以上続く痛みは「慢性の痛み」であり、このような場合は自律神経のバランスが崩れやすく、また交感神経の緊張が強くなることで、随所で血液の循環が悪くなっていきます。
そして新たな発痛物質(痛みを引き起こす化学物質)がたくさん溜まるようになり、より強い痛みや新しい痛みが生じるようになり痛みの悪循環が形成されるようになるのです。

痛みの悪循環を引き起こした、もしくはその傾向がある場合は、身体的・精神的な苦痛を緩和させることが必要です。
当院では、痛みの原因となる疾患を診断する方法として、問診、視診・触診、現在出ている症状、訴えのほか、必要と医師が判断すれば、血液・尿検査、X線検査、MRI、CTなどの画像検査なども行い、総合的に診断します。
その結果、治療が必要と判断した場合は、病態に応じて、神経ブロック(トリガーポイント、関節)注射や薬物療法などの治療法を用います。
痛みが解消されない患者さんは、一度ご相談ください。

ペインクリニック外来で対象となる主な疾患

  • 腰痛
  • 肩こり
  • 五十肩
  • 首の痛み
  • 肘の痛み
  • 膝の痛み
  • 坐骨神経痛
  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 頸椎症
  • 脊柱管狭窄症
  • 手足のしびれ
  • 手術後の痛み など

「慢性の痛み」に関する主な治療法

神経ブロック注射

神経ブロック注射とは、炎症を起こした神経や神経の周辺に局所麻酔薬やステロイドを直接注入することで痛みが伝わる経路を遮断することで、「痛み」を抑える治療法です。
局所に治療を集中させることにより、効果は期待できますが、針などを刺す侵襲的な治療でもありますので、いくつか注意点がございます。

ブロック注射は、一度でよくなる場合もありますが、数回、繰り返すことで症状が軽快してくる場合もあります。

ブロック注射の種類によっては、一時的に力が入りにくくなることや、一定時間の安静が必要になることもありますので、十分な説明と患者さんからの同意の上で行ってまいります。

また、既往症に対する内服薬などでは、休薬が必要な薬剤もありますので、お薬手帳などをご用意してください。

当院で実施する神経ブロック注射:

  • 腰部硬膜外ブロック
  • 仙骨硬膜外ブロック
  • 腰傍神経節ブロック
  • 星状神経節ブロック
  • 肩甲上神経ブロック
  • 大後頭下ブロック等

がございます。

トリガーポイント注射

押すと痛みが広がって、しこりのようになっている部分のことをトリガーポイントと言いますが、このような強い疼痛を感じる部分に局所麻酔薬を直接注射するのがトリガーポイント注射です。

なお痛みを発する部分は患者さまによって、肩や背中、腰など様々ですが、多くは筋・筋膜性疼痛に対して行われます。
注射については極細の針を使用、刺入する深さも1センチ程度なので、ほぼ痛みは感じません。
痛みの除去が期待できますので、肩こりなどでお悩みの方によく用いられます。

関節内注射

関節内注射とは、肩関節や膝関節などの関節内に注射する場合を言います。
主な注入薬には、ヒアルロン酸ナトリウムとステロイド剤があります。

ヒアルロン酸ナトリウムは、関節液などに含まれる成分の一種で液状の薬剤です。
変形性膝関節症や肩関節周囲炎(五十肩)、関節リウマチの患者さまに使用されることが多く、膝関節や肩関節に注入します。
注入することで関節の動きは滑らかになり、可動領域が広がるようになりますが、注射を打ちに何回か通院(1週間もしくは2週間間隔など)する必要があります。

ステロイド剤については、抗炎症作用が強力で内服薬では改善しない場合などに用いられ、腱鞘炎などに高い効果がみられます。

薬物療法

最も一般的に用いられている痛みの治療が薬物療法です。
主な種類としては、局所に効いて、優れた消炎・鎮痛効果がみられるロキソニン、ボルタレンなどの消炎鎮痛薬をはじめ、関節リウマチの薬として開発され、免疫異常の病気だけでなく、神経が炎症を起こしている場合でも効果があるとされるステロイド剤(内服薬)などがあります。
さらに自己が持つとされる「自然治癒力」を高め、体の状態を整える効果が期待できる漢方薬を使用することもあります。
昨今では、各種、慢性疼痛に対する薬剤も処方されるようになってきました。
神経障害性疼痛薬、身体受容性疼痛薬、貼り薬などを組み合わせ、患者さん一人一人にあったオーダーメードの薬物療法も行ってまいります。