リハビリテーション科

リハビリテーションとは

リハビリのイメージ写真

リハビリテーションという言葉の語源はラテン語で「Re(再び)+Habilis(適した)」という意味で、すなわち「再び適した状態となる」や「本来あるべき姿へ戻る」などの意味を持ちます。
その上でリハビリテーションとは病気やケガなどにより心身に生じた機能障害(運動機能障害、脳血管障害、呼吸・循環障害、精神障害など)を可能な限り回復することを指します。

当院にてリハビリテーションの対象となり得る方

  1. スポーツ場面でケガをされた方や競技のパフォーマンスを向上させたい方
  2. 交通事故でケガをされた方
  3. 慢性的な疼痛で悩まれている方
  4. 整形外科的手術後で後遺症に悩まされている方
  5. ケガの予防をしたいけど何処に相談してよいかわからない方
  6. 運動不足を感じている方
  7. 身体のケアをしたい方

当院で受けられるリハビリテーションについて

主に前述した運動機能障害に対し、まずは医師からの治療(薬物療法・注射・装具療法など)とリハビリ(運動療法や物理療法)を組み合わせながら疼痛やその他症状の改善を図ります。並行して日常生活上での症状の改善や機能回復に向けた取り組み(各動作の練習や自主トレーニング、ストレッチなど)をその方に合った方法でアドバイスさせていただきます。

当院では運動スペースを設けており、アスレティックリハビリテーションにも力を入れております。
普段皆様が想像するリハビリというのが、メディカルリハビリテーションと言い、日常生活の動作が支障なく行え、社会復帰を目的とするリハビリを指しますが、アスレティックリハビリテーションはそれよりも更に上のスポーツ競技への復帰を目的としています。
スポーツ外傷や障害予防として野球肘や野球肩、他スポーツのお子さんなどにフォームのチェックや身体の使い方などの指導を行い、早期のスポーツ競技への復帰・再発予防にも取り組んでいます。

個別でのリハビリであるため、老若男女どのような方でも個々の患者さんに合った目標やプランを立案し、ご提案致します。

現在は3名の理学療法士により個別リハビリを行っています。3名ともサッカーや野球、ゴルフ、ボウリングなどのスポーツ経験があり、スポーツで悩みを抱えている方のケアなども積極的に行っております。 「ケガはしていないけど、ケガをしないための予防は?」や「症状は落ち着いたけどまた痛みが出たら…」とお考えの方などの相談も承りますので、一度当院へご来院下さい。

理学療法士の前歴として大学病院や総合病院、他の診療所、老人保健施設、有料老人ホーム、などでの経験を活かして小さなお子様からご年配の方まで全力で対応させていただきます。

運動療法

手技や器具、または患者さん自身の力を使いながら筋力Upや関節可動域の拡大、柔軟性の向上などを図ります。主に機能回復や身体能力向上に向けての治療です。

運動療法のイメージ写真

物理療法

熱や電気、水などの物理的なエネルギーを利用して行う治療で、主に医療機器を使用した治療です。

側弯症のリハビリテーション

側弯症ってなぁに?

・からだの中心となる脊椎(せぼね)が 三次元的に変形 してしまう病態です。
・そのため、「からだが曲がってる?」・「歩き方がなんだかおかしい?」・「腰・肩・首の痛みや違和感」・「呼吸機能の低下」など、様々なからだの変化が起こります。

側弯症の原因や種類は?

・大きく 2 つに分けられます。
①特発性側弯症:様々な説があるが原因は未だ不明。乳児期特発性側弯症・若年性特発性側弯症(3~10 歳未満)・思春期特発性側弯症(10 歳以上 18 歳未満)の 3 つに分類されます。進行性の疾患であり、growth supportの時期(初潮前後 6 か月の時期)に関連して急激な進行を認める場合があります。
②成人期側弯症:18 歳以上の場合であり、加齢性変化に伴う変性側弯です。その背景には、特発性側弯症をもともと有していた場合もあります。
※その他にも側弯症には様々な種類や分類があります。

こどもの側弯症はどうやって見つけたらいいの?

・文部科学省が定める、学校での健康診断の内容に側弯症の有無に関する検査が具体的に示されています。
・特発性側弯症は症状を自覚しない場合があります。そのため、学校の健康診断で異常を指摘されて受診する方や親御さんがからだの左右差等に気が付いて受診される方もおります。注意深く観察してあげてください。 ・自宅でも簡単にスクリーニング検査を行うこともできます。以下にその方法も示しますので是非、行ってみてください。

自宅での簡単なチェック方法

立っている姿勢を観察してみましょう!

立っている姿勢を観察してみましょう!

前屈テスト(Adam’s forward bending test)を行ってみましょう!

前屈テスト(Adam’s forward bending test)を行ってみましょう!

リハビリテーションについて

  • 3人の理学療法士が担当制で個別に行っております。
  • 私たち理学療法士は、可能な範囲で手術を避け、医師と共に適切な治療を行いたいと考えております。
  • リハビリテーションの内容は、医師の診察を受けた後に、理学療法士が評価し、治療方針を検討します。
  • 個別のリハビリテーションに併せて、患者さん本人が自宅で自主トレーニングを実施する事や日常生活において姿勢を意識する事が非常に重要となります。そのため、自宅でも可能な自主トレーニングの方法も提案致します。
  • あくまでも、変形を完全にまっすぐに戻す事が目的ではなく、進行性の疾患ですので変形の程度を緩和させ、進行を遅らせることが目的となります。変形があってもからだの使い方や日常生活での工夫を行うことはと ても大切です。

リハビリテーションについて

さいごに

  • 当クリニックの院長(橋本蔵人)は、大学病院勤務時代、側弯症を専門として外来を行なっておりました。
  • 3人の理学療法士も側弯症に限らず様々な経験を積んでおります。
    医師・理学療法士共に安心してご相談ください。
  • 特発性側弯症は思春期に多くみられる疾患であるため、外見を気にしたり、心理的に不安定であったりと心のケアも大切です。私たちスタッフは患者さんやご家族に寄り添って一緒に治療を行いたいと思っています。
  • こどもの特発性側弯症に限らず、成人の場合でもリハビリテーションの適応になります。
  • 「学校で異常を指摘された」・「自宅で検査してみたけどもしかしたら側弯症があるかもしれなくて不安」・「周りに側弯症の事で悩んでいる人がいる」・「過去に側弯症の診断を受けたことがある」など、少しでも気になる事がお有りでしたらお気軽にご相談ください。

参考・引用文献
1) 山崎 健:脊柱側弯症-乳児期から成人期まで-,関節外科,Vol.31,10 月増刊号,2012
2) 文部科学省ホームページ

投球障害のリハビリテーション

投球障害ってなぁに?

・野球やソフトボールなどの、反復した投球動作によって引き起こされる肩や肘の痛みの総称です。
・一般的には、野球肩や野球肘という名称で呼ばれます。

投球障害の特徴

・野球肩は、15~16歳が発症のピーク、野球肘は、11~13歳が発症のピークです。
・ポジション別ではピッチャーとキャッチャーに発症しやすいといわれています。
・レントゲン画像では、下記のように「遊離(骨の剥がれ)」や「骨端線離開(骨端線が離れる)」のような変化が現れます。その他にも超音波画像やMRI画像などでは、腱板断裂・内側側副靭帯損傷など様々な疾患が指摘される場合があります。
・いずれもからだの成長に伴う「投球フォームの変化」に注意が必要であり、投球障害はプレーやからだの成長に影響を及ぼします。

投球障害の特徴

肩や肘に起こる痛みの原因について

① 投球数

学年に応じて適する投球数が示されています。投げすぎには注意が必要です。

投球数


② からだの柔軟性

自宅での簡単なチェック方法

 からだの柔軟性が乏しい場合には、無理な投球フォームに繋がります。

自宅での簡単なチェック方法
③ 肩や肘に負担のかかる投球フォーム

投球フォームが悪いと肩や肘に負担がかかり、痛みなどの障害を誘発しやすくなってしまいます。

肩や肘に負担のかかる投球フォーム


④ 投球前後でのケア

投球前後での適切なケアが症状の改善や再発の予防において重要です。

投球前後でのケア

さいごに

  • 今回は、投球障害についてごく一部をご紹介しました。その他の内容については、リハビリテーションの際に評価・治療させて頂きます。
  • 投球障害は痛みや違和感、肩や肘の張りを感じた時にはすでに起きています。
  • 正しい治療を受けて症状を改善し、正しいケアの方法を理解することで障害予防に繋がります。
  • 好きな野球やソフトボールを続けるためにも、早期受診からの早期リハビリがとても重要になります。
  • からだの不調や不安を感じたらお気軽にご相談ください。

疲労骨折のリハビリテーション

疲労骨折ってなぁに?

  • 子どものスポーツ選手(小学校高学年〜高校生)に多く発症する骨折です。
  • 代表的な疾患には、腰椎分離症・シンスプリント・ジョーンズ骨折などが存在し、腰椎(腰)・脛骨(スネ)・中足骨(足指)の順で疲労骨折が生じやすいです。
  • 3~6か月程度はスポーツを禁止してリハビリテーションを行う必要があります。

疲労骨折を発症した患者の競技種目

どうして疲労骨折が起こるの?

通常、骨は運動により目で見えない小さな損傷を負いますが、適度な休息・適切な食事などによって損傷が修復され、新しい骨に作り変えることができます。しかし、以下に示すような様々な要因によって、骨を新しく作り変えることができなくなってしまうと(骨代謝機能の異常)、疲労骨折を発症しやすくなってしまいます。

疲労骨折を引き起こす要因

どのような治療をするの?

  • 治療の目標は、“骨折の治癒”と“再発の予防”です。
  • 骨折の治癒には、スポーツ禁止、装具療法、超音波治療が必要です。
  • 再発の予防には、骨折部位や競技種目に応じたリハビリテーションを行い、骨折部位に負担がかかりにくい競技フォームを習得することが必要です。
  • 早期発見と早期治療のためにも痛みを放置しないようにしましょう。

腰椎分離症のリハビリテーション

腰椎分離症ってなぁに?

  • 腰椎(腰にある骨のこと)に起こる疲労骨折です。
  • 小学生~高校生のスポーツ選手に多く発症します。
  • 局所的な鋭い痛み(ズキンとした瞬間的な痛み)が特徴です。
  • 腰痛が2週間以上も持続している子供のうち、約30%~50%が腰椎分離症を発症していると言われています。
  • 骨折の程度が軽度であり発症初期の場合、運動中に痛みを認めるものの、それ以外の生活場面では痛みがありません。しかし、進行期、終末期になると運動の有無に関わらず常に痛みがあり、生活場面にも影響を及ぼしてしまいます。

腰椎分離症ってなぁに?

どうして腰椎分離症が起こるの?

  • 多くの要因が存在します。しかし、腰を反ったり、ひねったりする動作の反復、練習量の増加などによって腰へのストレスが増大してしまうことが主な要因です。
  • 足と体幹の柔軟性低下や筋力低下があると、運動中に腰を反った姿勢になりやすく、ストレスが増大します。

どうして腰椎分離症が起こるの?

どのような治療をするの?

  • 骨折の重症度が初期から進行期の場合であれば、骨折部が治癒する可能性があります。しかし、末期の場合には、骨折部の治癒が望めない場合があります。そのため、重症度に応じた治療が行われます。
  • 治療の具体的な内容は、“装具療法” “超音波療法” “運動療法”の3つです。
  • 装具を使用しながら適切な安静期間を取れば、初期は約4ヶ月、進行期は約6ヶ月で骨部が治癒すると言われています。さらに、超音波療法を継続的に実施することで骨折部の治癒を促すことができます。
  • 原則、スポーツや体育などの運動は行わず安静にする必要があります。骨折部が治癒すれば運動が再開できますが、再開してすぐに動けるようになるわけではありません。運動療法を行いながら、段階的にスポーツへ復帰します。

どのような治療をするの?

保存療法のスケジュール

  • 診断を受けてから骨折部位が癒合するまでの期間は、超音波療法や装具療法を行いつつ、復帰に向けて身体機能を向上させます。
  • 骨癒合が得られた後、すぐにスポーツができるわけではありません。競技復帰を目指すための運動療法を段階的に行う必要があります。

保存療法のスケジュール

保存療法のスケジュール

  • 骨折部位の治癒を妨げないために行います。
  • 腰を反ったり、ひねったりすると骨折部位に負担がかかります。装具を装着することで腰の動きを制限し、骨折部位の安静を保ちます。
  • 入浴時以外は装着することが望ましいです。
  • 装具を作る費用は、健康保険や医療費助成制度が適応になります。

超音波治療ってなに?

  • 骨折部位の治癒を促すために行います。
  • 治療時間は約20分です。治療中に痛みを伴うことはありません。
  • 超音波療法を受ける頻度は、 3回/週以上が理想的です。
  • 超音波療法の有無により、治療成績に差が出る可能性があります。そのため、超音波療法をしっかり受けることが大切です。
  • 当院は予約制になっておりますので、お待たせすることなくご案内できます。

超音波治療ってなに?

運動療法ってなに?

  • 身体機能を向上させて、適切なスポーツ動作を獲得するために行います。
  • 柔軟性や筋力が低下していると、腰への過剰なストレスが発生します。さらに、腰を反るような動 きやひねりすぎるような動 きも腰にとって悪影響です。そのため、ストレッチや筋力トレーニングを行いつつ、腰への負担が掛かりにくい動 き方をスポーツ種目の特徴に合わせて練習します。

運動療法ってなに?

再発を予防するためには?

  • 子どもたちにとっての再発は、「また何か月も休まないといけない」という想いがあり、痛みが強くない限りは、保護者や指導者に痛みを訴えない場合があります。
  • 腰椎分離症を起こしてしまった原因 (例:柔軟性低下、スポーツ時の不適切な動き方など)を運動療法によって改善させることが重要です。
  • さらに、競技復帰をした後もストレッチや筋力トレーニングなどを自分で練習して、身体をいい状態に維持することが大切です。

さいごに

  • スポーツ種目特有の競技動作、ポジション、練習環境などを踏まえて、患者さん個人に合わせた運動療法を行います。
  • 怪我をしにくい身体づくりは、レベルアップのチャンスです!
  • しっかり治療をしてスポーツを楽しみましょう!
  • 個別リハビリは担当制・完全予約制(キャンセルが出た場合は当日での診療も可能)となります。予めご了承下さい。
  • 個別リハビリをご希望の方は診察時にお申し出下さい。
  • 個別リハビリの場合、予約時間を10分遅延した場合はキャンセル扱いとさせていただきます。他の患者さんのご都合もありますので、ご理解・ご了承下さい。
  • 物理療法のみでの治療も可能です。その際は予約なしで来院が可能です。
    →初診方は先に診察を受けていただく必要があります。
  • 当院ではなるべくお待たせしない医療を提供していくことを目標に掲げておりますが、物理療法の場合、医療機器の数に限りがありますので、お待たせしてしまう場合があります。ご理解・ご協力をお願い致します。
  • 当院では脳血管障害の方もリハビリを行うことが可能です。