小児整形外科

小児整形外科とは

小児整形外科のイメージ

成長期のお子さんを対象にした小児専門の整形外科が小児整形外科です。
子どもは成人とは異なり、ヒトとしての発達途上にある段階であり、なかでも出生後から幼児期までの間は急速な成長を遂げるようになります。
このような発達段階にある子どもの運動器で起きた病気やけがを、成長過程をよく踏まえながら治療し、後遺症などが残らないように配慮いたします。

当院長は大学病院に勤務医として在籍していた頃に脊椎疾患を中心とした、小児整形では小児側弯症の診療に尽力してきました。
そのほかにもお子さんならではの整形外科疾患でもあるO脚・X脚、先天性股関節脱臼、オスグッド病、成長痛なども対象としています。
そのほかにも保護者の方から見て、子どもの運動器に不安がある、あるいは成長するにつれて気になることがあるという場合は、気兼ねすることなくなんでもご相談ください。

小児整形外科の対象疾患

  • ペルテス病、先天性内反足
  • 先天性股関節脱臼
  • O脚
  • X脚
  • オスグッド・シュラッター病
  • 成長痛 など

小児側弯症

側弯症とは、脊柱(頚椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎で構成され、これらが柱状でつながっている)を正面から見た場合に左右に曲がっている状態のことを言います。
主な原因としては、何らかの原因により一時的に生じた機能性側弯(椎間板ヘルニアなど)と脊椎のねじれを伴って側方に曲がり、正常の状態に戻らなくなっている構築性側弯に分類され、小児によく見られる側弯症は後者で、その中でも特発性脊柱側弯症にあたります。
これは発生原因が不明な側弯症で、骨が成長につれて生じると言われ、脊柱側弯症の患者さんの7~8割がこの病気で占められています。

症状は無症状の場合がほとんどです。
発症年齢によって、乳幼児期側弯症(3歳以下で発症、男児に多い。自然に治癒しやすい)、学童期側弯症(4~9歳時に発症)、思春期側弯症に分かれますが、圧倒的に多いのが思春期側弯症です。
これは10歳以上の思春期の女性(小学校高学年から中学2年くらいまで)に多く見られる側弯症です。
側弯症の進行は、成長が続いているときは継続し、成長が終了すると停止いたしますが、背中の骨(胸椎)では45度を超える場合、腰の骨(腰椎)では40度を超える場合は、成長が終了しても進行してしまうことがわかっております。
そのため、成長期を終える頃までにそれ以下の角度に抑えてあげることが重要であります。
25度を超える側弯である場合は、進行が早くなる恐れがあるため、年齢と骨成熟度などを考慮して装具療法を行います。
残念なことに、成長期が終了した段階で、40度以上になってしまった場合は、手術を顧慮しなければなりません。
その時は、高度医療機関へのご紹介をさせていただきます。
できうる限り、手術療法にならないようにするためには早期発見・早期治療が重要であります。
昨今、学校検診で運動器検診が義務付けされました。
学校の検診で指摘をされたお子様・親御さんがみて心配になられた方は当院にお気軽に受診してください。

X脚(外反膝)

内側に両膝が弯曲(わんきょく)しているので、左右の膝の内側を揃えたとしても、左右の内くるぶしが接していない状態がX脚です。
症状はとくになく、両足のくるぶしの間が開いていることから両脚が「X」に見えるのが特徴です。
通常は2歳頃からX脚となり、7歳頃には成人の脚になってきますので自然に改善されるようになります。
ただ7歳以降になってもX脚が見られる場合は注意が必要です。

O脚(内反膝)

乳幼児から2歳くらいまでの子どもの多くは軽いO脚です(生理的O脚)。
がに股のような見た目が特徴で、歩行を開始するようになるとだんだん外反していき、成長と共に自然に矯正されるようになります。
ただ、クル病などの代謝性疾患等が原因のO脚もあります。

先天性股関節脱臼

大腿骨(太ももの骨)が出生前あるいは出生後に何かしらの原因で脱臼している状態を言います。
女児に多いのが特徴です。
このような脱臼は誕生してすぐにわかるものではなく、歩き出すようになってからわかることが多いです。
症状としては、足を動かした時にポキポキ鳴る、歩き始めが遅く、足を引きずるようにしているという場合などは、その疑いがあります。
また足の長さに左右差があるのも要注意です。
このほか、おむつの付け方が関係していることもあります。
治療は装具やギプスによる固定が中心ですが、整復が困難な場合は、手術療法が検討されます。

オスグッド・シュラッター病

サッカーやスポーツをする発育期の男子によく見られる疾患で、脛骨結節(膝の皿の下の骨)がだんだん突出することで、同部位に痛みが起きる成長期の病気です。
多くは使い過ぎによる障害なので、休めば痛みは消えます。
症状としては、ジャンプ、ダッシュ、キックなどの動作時に脛骨結節の周囲に痛みが出るようになります。
15歳頃になって、骨端軟骨板が消失し、骨化するようになると痛みは消えていきます。